料理のアイデア 感情メソッド発想法 13のトリガー vol.2

前回は、感情メソッド発想法 13のトリガーの中でもネガティブ感情からアイデアを作り出す方法をお伝えしました。

前回の記事http://wp.me/p50ahn-1o2

今回は、その他の感情についてお話しします。それぞれの感情を深く理解し、組み合わせることで、様々なアイデアが生まれ、多くの素晴らしい料理が誕生することでしょう。

【ポジティブ感情編】

≪4≫ 解放

解放感という感情です。多くの人は、今の現状から抜け出したい、異空間を味わいたいと心のどこかで思っています。

・毎日会社に拘束されている。

・子供の世話で何もできない。

・家のローンがありお金に縛られた生活をしている。

そのようなマイナスの感情から、あなたの商品や料理で“解放”してあげることができれば、それは麻薬のような中毒性を持ち、何回も味わいたくなる商品・料理となります。

あま~いお菓子・ケーキなどが良い例です。食べている瞬間は、今の気持から解放され幸せな感情に浸れます。

≪5≫ 楽しい・興奮

楽しい・興奮という感情です。楽しいことほど長く続くものです。そのような時間を忘れるほど熱中して食べるような料理が作り出せれば、間違いなく相手は飛びつきます。

例えば、お腹が究極に空いている時に出す料理も“興奮”という感情を引き出しますし、見た目でインパクトを出すことによって“楽しい”という感情を持たせることができます。

≪6≫ 希望

未来への成功・希望という感情にアプローチします。誰でも人生成功したいもので、でも実現できるか不安だし、どのようにすればいいのかわかりません。そんなとき、今まで感じたことも味わったこともない料理が出てくれば、人は可能性を信じて進もうと前向きな感情が生まれます。

この「可能性の料理」は、すこしリスクがありますが挑戦してみる価値はあります。上手くいけば、相手の不安を消しつつ、未来へ続く道への光を照らしてあげることができます。

『ポイントは常識の真逆をいく』です。

お客さんが意外性を感じ、可能性を見いだせる料理を作るにはどんな常識が不必要なのかを考えて作ってみてください。

≪7≫ 幸福

相手の“幸せ”という感情にアプローチします。ただ、この幸せという概念は、人によってさまざまなため、一概にこれだというのは断定できないのです。

例えば、多くの人が幸せだと思うであろう“一体感”を例にとれば、鍋などのように、みんなで一つのものをシェアする空間を作り出すというのも一つの手ですし、少しずつ一品ずつ出すのではなく、大皿で提供したりすることで、一体感を味わうことができます。

“甘い”で幸せを感じるのであれば、ありとあらゆる“甘さ”の違いを出した料理(フルーツの甘味、麹の甘味、砂糖の甘味など)を提供するなどして、幸福を感じるなど、アプローチの仕方はさまざまです。

≪8≫ 身体的満足

身体が喜ぶ“満足”という感情です。身体自体が喜ぶものなので、食中食後に影響の出る料理になりますが、例えば、オーガニック料理やマクロビオテック、グルテンフリーダイエット、原始人ダイエットなど、メニュー表記で上記のネーミングを付けるだけでも、身体が欲しがるような満足感を与えることができます。

さらには、オーガニック食材を使うことによる、他の料理との味の差別化や食後の体調の良さなど、肉体面が喜び、満足する感情を生み出す料理を考えてみてください。

≪9≫ 精神的満足

精神的に満たされたい、認められたい、役に立ちたいという感情へのアプローチです。誰かに求められることは、人間として生まれたからには誰もが持っている欲望です。この本質は誰にも変えられません。自分の存在を周りに知ってもらうことができることをどこかでアピールできるもの。

これは料理という枠を飛び越え、精神的なアプローチも必要になってきます。

相手が「認められたい、満たされたい」と思う料理とはなにか?

それは、感情の入った料理。つまり、作る側に心のこもった愛のある料理となります。

その人だけのことを思い、食べ手の情報を頼りにして(お客さんであれば、服装、言葉遣い、出身地など)今できる最大限の力を発揮した料理を作ります。それは、既存の料理である必要はありません。

逆に言えば、相手に選択させてもよいのです。好きな食材を言ってもらい、それを使って料理をする。すると場合によっては、今まで見たこともない作ったこともない料理が生み出されるかもしれません。

たまに、お客さんと接していると思うことがありますが、「なんでこの料理にこの組み合わせで食べるの?」と思う食べ方をしている人を見ることがあります。

例えば、焼酎に胡瓜を入れたり、味噌汁をスプーンを使って食べ(飲ん)だり、全ての寿司に煮詰めをつけて食べたり、「あきらかに変だろっ!!」と突っ込みたくなる組み合わせもありますが、今持っている自分の常識を、きれいさっぱり無くして、その組み合わせで食べると、意外においしい(理解できる)こともあります。

【ニュートラル感情編】

≪10≫ 安心

「失敗したくない」「恥をかきたくない」つまり“安心したい”という感情にアプローチした料理です。多くの人は恥を書きたくないので、同じ店、同じ境遇の人と、同じ料理を食べたいと思います。

その感情にそのままアプローチすれば、ありきたりな料理になりますが、そんな同じ料理の中にも、今日は一つだけ新しい食材を入れてみる、調理法を一手順変えてみるなどのアプローチをすることで、安心した料理だけど、面白いというカテゴリーの料理に組み込むことができます。

≪11≫ 依存

依存という感情とは、これは単純に、ある依存しているもの(料理)に対して真似て少し変化を加えるものです。

例えば、多くの人が依存しているハンバーガーであったり、牛丼だったり、その店でしか味わえない、または、頻繁に食べるうちにまた食べたくなるという感情を生み出す料理を作るのです。

食品添加物を使えば、ある程度、依存の感情を引き出すことができますが、<8>でも説明した身体的満足は満たされません。いかに身体に良い食材を使い依存させるか?

一つのポイントとして“真似る”ことが挙げられます。

どうすれば、添加物を使わず、某大手のハンバーガーのように柔らかいパンを提供できるか?と考えれば、答えの案として

・焼きたてを提供する

・分量の割合を変えてみる

・クロワッサンのようなサクッとした生地にしてみる

などの候補が上がります。

“真似る”場合は、世の中の売れている商品を見て、お客さんはその商品の“どこの部分”に依存しているのかをしっかり見極めてまねてください。

≪12≫ 時間

・何時までにこれをしなければならない

・誰かにプレッシャーをかけられる

などの状況で時間が足りない時におこる圧迫感などの感情です。つまり、相手の時間に意識した料理です。

単純に考えるのであれば、

・ゆっくり楽しみたいのか

・早く食べたいのか

その状況による料理の提案とアイデアです。これは、一方的に出す料理ではだめです。

必ず、食べる人とのコミュニケーションをとり、その人に流れる時間の感覚がどのようなものなのかを見極めなければなりません。

それによって、料理の何が変わるのか?というと、簡単な例でいえば、早く食べたい人の場合、

丼のように、一体化させたり、一つのお皿に盛り付け提供したり、早く食べやすいように、消化を助けるために、小さめにカットしたり、隠し包丁(食材に見た目ではわからない切り込み)を入れたり、することで、食事のスピードをアップすることができます。

カップルなどでコース料理を食べに来ている場合、運ばれてくる料理の見た目は同じに見えても、男性は少し量を多めにしたり、大きめのサイズに切ったり、女性は、小さめのポーションにカットして、食べやすく上品に食べられるように工夫したりすることで、たとえ、食べる量や飲む量の胃袋の大きさの違う、そして食べるスピードの違う2人でも、作る側の工夫次第で、食事の時間を同じにすることも可能です。

その他、人によって時間に対する感情の変化はさまざまなので、もっと細かくセグメント化する(状況と感情によって分ける)ことでまた違った料理のアプローチができます。

【最後の感情】

≪13≫ 感謝・愛

今まで1~12全てのアプローチの中でも一番強力な感情です。

相手が涙を流しながら「本当に作ってくれてありがとう」と言われるような料理を作るにはどうすればよいのか?

これが最大のポイントです。

料理人であれば、目指す究極は、食べた相手が、涙し、感謝して全てを受け入れる、感情を出してくれる、安心してくれるなど、全てを満たす料理ができれば最高です。もちろん、こればかりは、統一はできません。

人によって、状況、場面、時間など色々な組み合わせが最高潮になった時にこれが生まれます。どうすればいいのかは答えはありませんし、これだというのも言えません。

ポイントとして挙げられるのが今まで説明してきた1~12の感情メソッドを使って、うまく組み合わせて料理を作ることです。そこに絶対的な【感謝と愛】を込めます。

さらに理想的なのは、一番相手のことを理解している人の協力と、(色々なジャンルでの)超一流プロの集団とのコラボレーションです。

男性女性に限らず、この最後の感情メソッドを使い、最高のシチュエーションで料理を提供できれば、おそらく、その人の人生で一番最高の思い出として記憶として残るでしょう。

 

以上になります!たまには、こんなことも考えながら料理を楽しんでくださいね!